Ethachinmate
アルコール沈殿用共沈剤(DNase,RNaseフリー)エタチンメイト
核酸抽出/精製
品名 |
Code No. |
包装単位 |
価格 |
備考 |
Ethachinmate |
312-01791 |
0.2 ml |
16,000円 |
|
Ethachinmate |
318-01793 |
0.02 ml |
3,200円 |
小容量品 |
製造元 (株)ニッポンジーン
表示価格は希望納入価格 (税別) です。
製品説明
Ethachinmate(0.2 ml)
Ethachinmate(エタ沈メイト)は核酸(DNA およびRNA)をエタノールまたはイソプロパノール沈殿させる際に使用する高分子キャリアーです。
本品を使用すると、希薄な核酸溶液から定量的に、微量な核酸を回収することができます。また、エタノールやイソプロパノールを加えた後の-20°C(あるいは-80°C)での冷却が不要なので、ただちに遠心することができます。回収した核酸は、バッファーなどに溶解し、そのまま各種酵素の基質として使用できます。
本品には、3 mol/l Sodium Acetate(pH 5.2)が添付されています。またDNase フリー、RNase フリーです。
特長
微量核酸の回収が可能
20ng/ml以上のDNA(>100塩基対)及びRNA(>120塩基)を定量的に回収できます。
迅速なアルコール沈殿が可能
-20°Cあるいは-80°Cのインキュベーションが不要なので、アルコール添加後直ちに遠心できます。
酵素反応を阻害しない
回収した核酸は、水やバッファーに容易に溶けます。しかも混在するEthachinmateは酵素反応を全く阻害しません。
沈殿を目で確認できる
Ethachinmate自身がアルコール沈殿によって沈殿を形成するので、微量な核酸の場合でも大切な試料を洗い流してしまう心配はありません。
DNase, RNase free試験済み
EthachinmateはDNase, RNase freeであることを確認しています。試験方法に関してはこちら
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製品内容
保存方法
冷蔵保存(2~10°C)
Ethachinmate (0.02 ml)
構成品 |
容量 |
備考 |
Ethachinmate |
0.02 ml x 1 |
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3 mol/l Sodium Acetate (pH 5.2) |
0.1ml x 1 |
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Ethachinmate (0.2 ml)
構成品 |
容量 |
備考 |
Ethachinmate |
0.2 ml x 1 |
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3 mol/l Sodium Acetate (pH 5.2) |
1ml x 1 |
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使用例
DNAのエタノール沈殿(エタチンメイトを使用の場合)
DNA溶液 (100 μl)
↓←3.3 μl 3M Sodium Acetate(もしくは3M Sodium Acetateを核酸水溶液の1/10倍量添加) *1
↓←1-2 μl Ethachinmate *2
↓ボルテックスで混合する *3
↓←2-2.5倍量 Ethanol(水溶液100 μlの場合、エタノールは250 μl)
↓ボルテックスで混合する *3
↓遠心(12,000×g, 5分間) *4
↓上清を取り除く *5
沈澱 *6
↓*7
↓←1 ml 70%Ethanol
↓チューブ壁面を洗うように軽く混ぜる
↓遠心(12,000×g, 2分間)
↓上清を取り除く
沈澱
*1 塩濃度は終濃度0.1M以上とする。DNA溶液がすでに高塩濃度の場合は加えなくてもよい。
*2 Ethachinmate はDNA溶液100 μlあたり1 μl加える。ただし、溶液量が300 μl以上の場合は3 μlあれば十分である。Ethachinmateは一度添加したらその後追加する必要はない。Ethachinmate を繰り返し加えるとDNA溶液が粘稠(ねんちゅう)になり、以後の操作に支障をきたす場合もある。
*3 ボルテックスを行うことにより、微量DNAでも定量的に回収できる。
*4 必ずしも冷却の必要はない。
*5 沈澱は目で確認できる。沈澱を見失わないようにする。
*6 ここで得られた沈殿は、別の緩衝液に溶解し、そのまま各種酵素の基質として使用できる。
*7 必要に応じて70%エタノールでチューブ内部を洗浄する。
使用例 ISOGENとエタチンメイトの組み合わせ
ISOGEN(Code No. 311-02501)などの一液タイプのRNA抽出試薬を用いてtotal RNAを抽出する際、RNA沈澱が見えにくい場合はエタチンメイト(高分子キャリアー)を添加すると、目視しやすくなります。
ISOGEN法RNA抽出プロトコール(エタチンメイトを使用の場合)
サンプル(微量)
↓←ISOGEN
↓ホモジナイゼーション、室温 5分間
↓←クロロホルム
↓激しくシェイクして混合、室温 3分間
↓遠心 15分間 (液相分離)
水層を新しいチューブに移す
↓←1-2 μl, Ethachinmate *1
↓ボルテックス *2
↓←イソプロパノール
↓転倒混和、室温 10分間
↓遠心 10分間
↓上清を取り除く
沈澱
↓←70%エタノール
↓ボルテックス
↓遠心 5分間
↓上清を取り除く
沈澱
↓風乾
↓←RNaseフリー水またはTE(pH8.0)
total RNA溶液
*1 ISOGEN法で液相分離した後の水層はすでに高塩濃度のため、Ethachinmateに添付されているSodium Acetateは添加しないでください。
*2 Ethachinmate の添加と混合は、アルコールを加える前に行います。
実験データ
1. 微量核酸の回収
2. 酵素反応に及ぼす影響
3. Transformation, in vitro packaginigに及ぼす影響
4. モノヌクレオチドの挙動
5. Poly(A)+ RNAの回収(エタノール沈殿の際のEthachinmateの効果)
6. Real-time PCR におけるEthachinmate の影響について
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Q & A
- DNase, RNaseのコンタミはありますか?
- ありません。EthachinmateはDNase, RNase freeであることを確認しています。
DNase, RNase free試験について
- RNAの回収に使用できますか?
- RNAの回収に問題なく使用できます。
実験例1:低分子RNAのエタノール沈殿 リーフレット 2ページ目(PDF)
- 効率良く回収できる核酸の濃度と長さは?
- 20 ng/ml以上のDNA(100 bp以上)およびRNA(120 base以上)を、ほとんど回収することができます。アルコール沈殿の効率は、全体の体積が小さいほど、核酸濃度が高いほどよくなります。また、アルコール沈殿では核酸の長さが短くなるほど回収率が低下しますが、Ethachinmateを添加した方が沈殿物を確認しやすくなり、大切な試料を洗い流してしまう心配がなくなるのでご利用をお勧めいたします。
- 260 nmの吸光度測定による定量に影響しますか?
- 影響しません。
実験例2:吸光度 リーフレット 2ページ目 (PDF)
- プロトコルでは、DNA溶液100 µlに対してEthachinmateを1 µl加えることになっていますが、DNA溶液が100 µlより少ない場合はどうすれば良いですか?
- Ethachinmateは1 µl加えて下さい。DNA沈殿を可視化するためには1 µl以上のEthachinmateが必要です。なお、添付の3M Sodium Acetateは比例換算して適量を加えて下さい。
例 : DNA溶液50 µlの場合、3M Sodium Acetate 1.7 µl, Ethachinmate 1 µl
- DNA溶液が300 µl以上の場合の添加量は?
- DNA溶液が300 µl以上の場合、EthachinmateはDNA溶液の量に関係なく3 µl加えて下さい。Ethachinmateを過剰に加える必要はありません。なお、添付の3M Sodium Acetateは比例換算して適量を加えて下さい。
例 : DNA溶液600 µlの場合、3M Sodium Acetate 19.8 µl, Ethachinmate 3 µl
- DNA溶液を2回以上エタノール沈澱する場合には、2回目以降にもEthachinmateをその都度加えた方が良いですか?
- Ethachinmateは一度添加したらその後追加する必要はありません。Ethachinmateを繰り返し加えるとDNA溶液が粘稠になり、以後の操作に支障を来す場合があります。
- 凍結させた場合、Ethachinmateの効果に影響はありますか?
- ありません。
- オートクレーブ処理した場合、Ethachinmateの効果に影響はありますか?
- ありません。
- Ethachinmateを含むDNA溶液をフェノール/クロロホルム処理した場合、Ethachinmateの効果に影響はありますか?
- ありません。
- 電気泳動パターンに対する影響はありますか?
- ありません。ただし、電気泳動条件によっては、数十kbp以上のDNAのバンドがブロードになることがあります。
- 制限酵素反応に対する影響はありますか?
-
ありません。
2. 酵素反応に及ぼす影響
- T4 DNA Ligaseの反応に対する影響はありますか?
- ありません。
2. 酵素反応に及ぼす影響
- AMV Reverse TranscriptaseのcDNA合成反応に対する影響はありますか?
- ありません。ただし、Etachinmateはアクリルアミド系のポリマー溶液で、アミノ基が含まれております。後の実験にアミノ基を利用した反応を行う場合には、Ethachinmateが影響することがありますのでご注意ください。
2. 酵素反応に及ぼす影響
- Taq DNA PolymeraseによるPCRに対する影響はありますか?
- ありません。
2. 酵素反応に及ぼす影響
- Klenow Fragmentの反応に対する影響はありますか?
- ありません。
- in vitro 転写反応に対する影響はありますか?
- ありません。
- 大腸菌の形質転換に対する影響はありますか?
- ありません。エレクトロポレーションにおいても影響しません。 ただし、大腸菌に導入するligation product溶液中に、Ethachinmate、PEG6000、ポリアミンが混在する場合、形質転換効率が低下することがありますのでご注意ください。
3. Transformation, in vitro packaginigに及ぼす影響
- in vitroパッケージングに対する影響はありますか?
- λファージのin vitroパッケージング効率は若干低下します。詳しくは下記の実験データをご参考ください。
3. Transformation, in vitro packaginigに及ぼす影響
- トランスフェクション効率に対する影響はありますか?
- Ethachinmateを使用して調製したsiRNAをリポフェクション試薬でトランスフェクションしたところ、効率が下がったことがありました。その他の手法に関しては未確認ですが、Ethachinmateを使用するとトランスフェクション効率が低下する可能性があります。
- Ethachinmateを加えてエタノール沈澱するとオリゴヌクレオチドは沈殿しますか?
- 8 merおよび17 merのオリゴヌクレオチドを用いた実験では、Ethachinmate添加の有無に関わらず、回収率に変化はありません。
- ホルムアミドを含むハイブリダイゼーション溶液中で変性しますか?
- 変性しません。
- ブロッティングに影響はありますか?
- ありません。
- シークエンス反応に影響はありますか?
- ABI Prism® 377を用いたサイクルシークエンス反応には影響しません。ダイデオキシ法によるシークエンス反応にも影響はありません。
- Ethachinmateを添加すると沈殿がチューブからはがれやすくなってしまうことはありますか?
- チューブの材質によります。例えば、エッペンドルフ社製のSafe-Lockチューブははがれやすい傾向があります。
- 簡易・迅速ライゲーションキット「Ligation-Convenience Kit」と併用する場合の注意事項はありますか?
- Ethachinmateで調製したベクターやインサートを使用しても、ライゲーション反応、形質転換への悪影響はありません。しかし、ライゲーション反応後、すぐにEthachinmateを添加してエタノール沈殿を行うと、形質転換効率が低下しますのでご注意下さい。実験データおよび対策は下記をご覧ください。
EthachinmateとLigation-Convenience Kitを併用した場合の形質転換への影響
- エタチンメイトを持ち込んだ核酸は、Agilentバイオアナライザ解析に使用できますか?
- 計算値で約0.1%~0.5%程度のエタチンメイトの持ち込みがあるRNAサンプルを当社で解析した際には、特に問題は生じておりません。
また、下記実験結果では、バイオアナライザ解析を行っているtotal RNAサンプルに対してEthachinmate含有率が約1%以下の場合、解析にほぼ影響が見られませんでした(Agilent RNA6000ピコキット使用の場合)。他のバイオアナライザキットに関しては未確認です。
Fig. total RNAの泳動パターン
(解析サンプル中のEthachinmate含有率1%)
【実験内容】
Total RNA 2.5 ng に対して、それぞれ 0%, 0.1%, 0.5%, 1%, 5%, 10%, 20%, 50%(v/v) の Ethachinmateを含む電気泳動用RNAサンプルを調製し、バイオアナライザのマニュアルに従い電気泳動を行った。
結果
・電気泳動像に大きな乱れは生じなかった。ただしEthachinmate含有率5%以上から28S, 18Sのバンド位置がシフトダウンする傾向が見られた。
・Total RNA の分解度を調べるRIN値は安定しており、Ethachinmateの含有率は影響していない。
・電気泳動波形のパターンに大きな乱れは生じなかったが、Ethachinmate濃度が高くなるにつれて28S, 18Sのピークの高さ(蛍光強度)が低くなった。そのため、含有率10%以上からRNA濃度が低く算出される傾向が見られた。
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資料 Data Sheet
製品マニュアル
SDS(Safety Data Sheet)
リーフレット
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関連情報
DNase, RNase free試験について
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DNase 試験 |
1 µg のλ /Hind III にEthachinmate 3 µl を加え、37°Cで16 時間インキュベートした後、アガロースゲル電気泳動し、そのパターンに変化のないことを確認している。 |
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RNase 試験 |
基質RNA 2 µg にEthachinmate 3 µl を加え、37°Cで16 時間インキュベートした後、アガロースゲル電気泳動し、そのパターンに変化のないことを確認している。 |
使用上の注意
- Ethachinmate存在下での大腸菌のTransformationは影響を受けませんが、in vitro packagingでは、packaging効率が低下することがあります。
- 大腸菌に導入するligation product溶液中に、Ethachinmate、PEG6000、polyamineが混在する場合、形質転換効率が低下することがありますのでご注意下さい。
- Ethachinmateはアクリルアミド系のポリマー溶液で、アミノ基が含まれております。後の実験にアミノ基を利用した反応を行う場合には、Ethachinmateが影響することがありますのでご注意下さい。
備考
- 本品は試験研究用試薬です。医薬品の用途には使用しないでください。
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