TA-Enhancer Cloning Kit
高効率TAクローニングキット
DNA、遺伝子クローニング
品名 |
Code No. |
包装単位 |
価格 |
備考 |
TA-Enhancer Cloning Kit |
316-08271 |
25回分 |
23,000円 |
|
製造元 (株)ニッポンジーン
表示価格は希望納入価格 (税別) です。
製品説明
PprAタンパク質は、放射線抵抗性細菌Deinococcus radiodurans
R1由来のDNA修復促進活性を有するDNA結合タンパク質です。
PprAは、直鎖状二本鎖DNAの末端に結合します。
(資料提供:東洋大学 放射線微生物学研究室 鳴海先生)
Taq DNA ポリメラーゼ等のターミナルトランスフェラーゼ(TdT)活性を有するPCR酵素を用いて合成されるPCR産物の多くは、3'末端にデオキシアデノシン(dA)が一塩基付加された形になっているため、Tベクターの3'末端に突出しているチミジン(dT)と相補的に対合し、簡便にPCR産物のクローニングを行うことができます。この方法はTAクローニングとして知られています。
「TA-Enhancer Cloning Kit」は、Tベクターとライゲーション用試薬を組み合わせたTAクローニング用キットです。ライゲーション用試薬は、ニッポンジーン独自のバッファー組成と10 x Enhancer Solutionに含まれるPprAタンパク質によって、これまで効率が低いとされてきたTAクローニングを高効率に行うことができます。
特長
高効率:10 x Enhancer Solutionによってライゲーション促進!
迅速:30分間でライゲーション反応が完了
簡単:反応終了液をそのまま形質転換に使用可能
用途
* 本品にdA付加反応試薬やコンピテントセルは含まれておりません。こちらより別途ご用意ください。
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製品内容
使用回数
包装単位は20 µl反応系での使用回数です。
*1 5 x Ligation Mix と10 x Enhancer Solution はTA-Blunt Ligation Kitとして別途購入可能です。
保存方法
-20°C
*2 ライゲーション用試薬 は-20°C保存では凍結しませんので、凍結融解による安定性低下の心配がなく、面倒な融解操作の必要もありません。
TA-Enhancer Cloning Kit (25回分)
構成品 |
(25回分) |
保存 |
備考 |
pANT Vector (25 ng/µl) |
45 µl x 1 |
-20°C |
|
5 x Ligation Mix |
100 µl x 1 |
-20°C |
*1、*2 |
10 x Enhancer Solution |
50 µl x 1 |
-20°C |
*1、*2 |
Control Insert DNA (10 ng/µl) |
10 µl x 1 |
-20°C |
|
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使用例
pANT Vector の構造模式図
pANT Vector のマルチクローニングサイト
実験例1 各鎖長のライゲーション効率
各製品のプロトコールに従ってクローニングを行った。Taq DNA Polymeraseで増幅した200 bp、500 bp、1 kbp、3 kbp、5 kbpのPCR産物を用いて、16°C、30分間(A社:室温、60分間)のライゲーション反応を行った。反応後、ECOS Competent E. coli JM109へ形質転換(6分間プロトコール)し、本品とA社製品のライゲーション効率を比較した。さらに、インサート長3 kbpのプラスミドを保持する大腸菌コロニーからランダムに選択し、コロニーPCRでインサートの確認も行った。
反応液組成
pANT Vector (25 ng/µl) |
1.8 μl |
(final conc. 45 ng/20 μl) |
5 x Ligation Mix |
4 μl |
(final conc. 1X) |
10 x Enhancer Solution |
2 μl |
(final conc. 1X)※ |
PCR産物 |
X μl |
|
d.d.H2O |
up to 20 μl |
|
※ 添加する10 x Enhancer Solution の量は正確にはかりとって下さい。推奨量より多く添加したり、少なく添加したりするとライゲーション効率が著しく低下する場合があります。
Transformation (Ligation Mix 5 μl / ECOS Competent E. coli JM109 100 μl) → Plating 50 μl
結果
本品はA社製品と比較してコロニー数および白コロニー率において優位性が認められた。また、本製品で生じた白コロニーを用いてコロニーPCRインサートチェックを行った結果、3kb長目的断片がベクター内に挿入されていた。
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Q & A
- 推奨のベクターとインサートのモル比はありますか。
- ニッポンジーンで様々な長さのインサートDNA をライゲーション、形質転換した際の、特定の条件で最も良い結果が得られたベクターとインサートのモル比を紹介します。
インサートDNAの長さ |
20 µlの系でpANT Vector(2.7 kbp, 25 ng/µl)を1.8 µl使用した場合 |
200 bp |
pANT Vectorモル:PCR産物モル = 1 : 6 - 10 |
500 bp |
pANT Vectorモル:PCR産物モル = 1 : 3 - 10 |
1 kbp |
pANT Vectorモル:PCR産物モル = 1 : 0.5 - 6 |
3 kbp |
pANT Vectorモル:PCR産物モル = 1 : 0.5 - 1 |
- ライゲーション産物を保存する場合はどうしたら良いですか?
- -20°Cで凍結保存して下さい。融解後は、そのまま形質転換実験に用いることができます。
- サンプル数が多いのですが、あらかじめ10 x Enhancer Solutionと5 x Ligation Mixを混ぜたプレミックスを作製してから使用することはできますか?
- プレミックスを作製して使用できます。ただし、プレミックスは使用直前に調製し、調製後すぐに使用して下さい。
- ライゲーション反応を反応温度4°Cにおいて、オーバーナイトで行うことはできますか?
- 4°Cオーバーナイト(16 時間)でライゲーション可能です。
- ライゲーション反応を室温(25°C)で行うことはできますか?
- 室温(25°C)でもライゲーション反応はできますが、16°Cでのライゲーション反応と比較して白コロニー率(ライゲーション効率)が低下する恐れがあります。
- ライゲーション産物をそのままエタノール沈殿してもよいですか?
- ライゲーション産物をそのままエタノール沈殿するとコロニー数が著しく減少します。フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール処理をしてから、エタノール沈殿をして下さい。
- 5 x Ligation Mixと10 x Enhancer Solution が-20°Cで凍結していません。
- 5 x Ligation Mix と10 x Enhancer solution は-20°Cでは凍結しません。
<注意> -80°Cで保存されると凍結しますが、凍結させた状態で保存するとライゲーション効率が著しく悪くなる恐れがありますので避けて下さい。
- 5 x Ligation Mixと10 x Enhancer Solutionは混和してから使用した方が良いですか?
- 使用前に混ぜる必要はありません。冷凍庫から出してすぐに使用できます。
<注意> ピペッティング等で混和してから使用されてもライゲーション効率に悪影響はありません。ただし、激しいピペッティング、ボルテックスは避けてください 。
- 反応スケールを下げることはできますか?
- はい、できます。ただし、その場合は使用するDNA量も少なくして反応系全体をスケールダウンして下さい。
そうすることで高効率を保持したままでのスケールダウンが可能となり、以降の実験に都合の良いスケールでご使用いただくことができます。
<注意> DNA量を減らさずに5 x Ligation Mix と10 x Enhancer Solution の使用量のみを減らした場合は、ライゲーション反応が至適条件ではなくなり、反応効率が大きく低下する恐れがあります。また、本製品はベクターDNA量と10 x Enhancer Solutionの量比が非常に重要です。
- 反応終了液をそのまま大腸菌の形質転換に使用することができますか?
- ケミカルコンピテントセルでの形質転換の場合はそのまま使用できます。ただし、使用する反応液量はコンピテントセルの10%以下にして下さい。多量の反応液を使用した場合、形質転換効率が低下することがあります。
ECOSコンピテントセルを使用して形質転換を行う場合は、ライゲーション反応液はコンピテントセル体積の5%までにして下さい。
5%以上の反応溶液を形質転換に使用したい場合は、反応液をフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール処理、クロロホルム/イソアミルアルコール処理、エタノール沈澱法により DNAを回収して、そのDNAをコンピテントセル体積の5%量になるようにddH2OまたはTE (pH8.0)に溶解してから形質転換に用いて下さい。
ECOS Competent E. coliシリーズ
- α型高正確性PCR酵素を用いた増幅産物でTAクローニングを行いたい。
- α型の高正確性PCR酵素は、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性(校正活性)を有するため、得られるPCR産物は平滑末端です。
このPCR産物をTAクローニングするためには、3’末端にdAを付加する必要があります。
「dA-overhang reaction Mix」を利用して、平滑末端のPCR産物にdAを付加することができます。
本品でdAを付加したPCR産物は、そのままTAクローニングに用いることができます。
dA-overhang reaction Mix
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資料 Data Sheet
pANT Vector 塩基配列情報
製品マニュアル
SDS(Safety Data Sheet)
リーフレット
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関連情報
備考
- 本品は試験研究用試薬です。医薬品の用途には使用しないでください。
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