Thermostable β-Agarase
アガロースゲルからの核酸抽出
核酸抽出/精製
品名 |
Code No. |
包装単位 |
価格 |
備考 |
Thermostable β-Agarase |
317-07123 |
30 units |
5,600円 |
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Thermostable β-Agarase |
311-07121 |
300 units |
24,000円 |
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製造元 (株)ニッポンジーン
表示価格は希望納入価格 (税別) です。
製品説明
Thermostable β -Agarase
アガラーゼは、融解させた( ゾル化させた) アガロースをneoagaro-oligosaccharides に分解する酵素で、分解後のアガロース溶液は再びゲル化しなくなります。この性質を利用し、アガラーゼはアガロースゲルからの核酸抽出に応用されています。アガラーゼによる核酸抽出のメリットは①操作が簡単、②有害な試薬を使用しない、③大きなDNA断片でも比較的傷つけることなく回収できることが挙げられます。
本品は、耐熱性微生物に由来するアガラーゼであり、従来のアガラーゼと比較して極めて耐熱性に優れているため、DNA断片を簡便・短時間にアガロースゲルから抽出することができます。
特長
簡単で最短10分間で操作可能至適反応温度が高く(50~60°C)、スタンダードタイプのアガロースにも使用可能*ゲル分解液をそのままクローニングや制限酵素反応等に使用可能大きなDNA 断片もせん断の影響が少なく回収可能冷蔵保存が可能
*注意 スタンダードタイプのアガロースゲルブロックを融解させる際に高温での加熱処理が必要となるため、DNAの配列・鎖長(数 kbp 以上)によっては原因は不明ですがダメージを受けて下流の実験に影響する例がありました。その場合は、スタンダードタイプのアガロースは適しておりませんので、低融点アガロースをご使用ください。
活性 |
1 unit/µl |
酵素形状 |
50 mmol/l NaCl, 20 mmol/l Tris-HCl (pH7.5) |
単位の定義 |
1 unit は、60°Cで1分間当たり1 µmol のD-ガラクトースに相当する量の還元糖をアガロースゲルから生成する酵素活性とする。 |
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製品内容
保存方法
冷蔵保存
・4°C、-20°Cで2年間保存(室温で1年間保存)してもアガロース分解活性に低下は見られません。
・110回まで、凍結融解によるアガロース分解活性の低下は見られません。
Thermostable β -Agarase
(30 unitsまたは300 units)
構成品 |
容量 |
備考 |
Thermostable β -Agarase |
包装単位 x 1 |
酵素溶液 |
* 本品に反応バッファーはありません。
輸送方法
本品は冷蔵保存品です。ニッポンジーンから直接発送する場合、冷凍で輸送します。製品到着時の酵素溶液は凍結しておりますが、品質に問題ありません(110回まで、凍結融解によるアガロース分解活性の低下は見られません)。
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使用例
プロトコール
切り出したアガロースゲルブロック200mg(~200µl)をチューブに入れる
↓5~10分間加熱し、アガロースゲルを完全に融解する *1
↓50~65°Cの恒温槽に移して(30~60秒ほど放置し)冷ます *2
↓←6 units(6µl)のThermostable β-Agaraseを添加し、混和する
↓50~65°Cで5~10分間保温し、アガロースを分解する *3
↓氷上に静置し、再凝固しないことを確認する *4
DNA溶液(必要に応じてアルコール沈殿などの精製をする)
*1 アガロースやバッファーの種類によって融点は異なる。
*2 Thermostable β-Agarase は50~60°Cで最大活性を示す。
*3 アガロースゲルブロックの量や容器の大きさ、Thermostable β-Agaraseの添加量によって反応時間が異なる。
*4 未分解のアガロースゲルが残っているとDNAの回収率が低下することがある。未分解ゲルが残っている場合は、再度プロトコールのはじめから反応を行う。
実験例
- アガロースゲルブロックから回収した DNA 断片の PCR
- アガロースゲルブロックから回収したDNA断片(500 bp)のクローニング
- アガロースゲルブロックから回収したDNA断片(100 bp以下)のクローニング
- 分子量の大きいDNA断片の低融点タイプアガロースゲルからの回収
- アガロースゲルブロックから回収したDNA断片の塩基配列解析
- 参考資料 「酵素添加量の検討」
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Q & A
- 使用する酵素量は減らすことができますか?
- Thermostable β - Agarase の基本プロトコールで推奨する酵素量は、200 mg のゲルブロックに対して 6 µl (6 units) ですが、ゲルの濃度や反応条件によっては 1 回に使用する酵素量を減らすことができます。(TAE または TBE でゲル作製時)
- DNA の回収率はどのくらいですか?
- 原理上、切り出したゲル中の DNA は全量回収されます。
- 反応液の最終溶液量はどれくらいになりますか?
- 200 mg のアガロースゲルを用いた場合、最終溶液量は約 200 µl になります。
- 反応液を濃縮するにはどうすればよいですか?
- アルコール沈殿を行なって下さい。
例)得られた DNA 溶液(ゲル分解液)に対して 0.1 倍量の 3 mol/l Sodium acetate を添加する(必要に応じて共沈剤の Ethachinmate も添加し混合する)。0.8~1 倍量のイソプロパノール(または 2.5 倍量のエタノール)を添加して混合し、室温で 2~10 分間静置後、遠心分離(12 K x g, 10 分間)して上清を除去する。沈殿を残したチューブに 70% エタノールを 1 ml 程度加え、遠心分離(12 K x g, 5 分間)して上清を除去する。沈殿を室温で 15 分間放置して乾燥後、適当量の TE バッファーにて溶解する。
- 分子量の大きい DNA 断片を回収することができますか?
- Thermostable β - Agarase は大きな DNA 断片も、物理的なせん断の少ない状態で回収できることを確認しております(数十 bp~166 kbp の DNA フラグメントを回収して確認)。ただし、取り扱う DNA のサイズが大きくなればなる程、アガロースゲル電気泳動での分離が困難になり、ピペッティング等の操作でもせん断されやすくなります。
- 反応液は PCR 反応に使用できますか?
- PCR 反応液に対し、Thermostable β -Agarase を用いたアガロース分解溶液の添加量を 1/8 倍量以下にすることで使用できることを確認しております。
例)PCR 反応液の容量が 20 µl であれば、アガロース分解溶液の添加量を 2.5 µl 以下にする。
- 反応液はクローニングに使用できますか?
- Thermostable β -Agarase で回収した DNA 溶液を、そのままライゲーション反応と形質転換に使用できることを確認しております。(Ligation - Convenience Kit と ECOSTM Competent E.coli DH5αを使用して確認)
- 反応液は転写反応に使用できますか?
- Thermostable β - Agarase で回収した DNA 溶液を、そのまま転写反応に使用できることを確認しております(CUGA® 7 in vitro Transcription Kit を使用して確認)。
- 反応液はシークエンスに使用できますか?
- Thermostable β - Agarase で回収した DNA 溶液を、そのままシークエンスに使用できることを確認しております(ABI 社 377 シーケンサーを使用して確認)。ただし高濃度・高分子量のアガロース分解物が混入すると、解析機器の機種によっては故障の原因につながる可能性があります。高分子量のアガロースゲル分解物は遠心分離やフェノール・クロロホルム処理で除くことができます。
- 変性アガロースゲルからの RNA 抽出に使用できますか?
- 使用できますが、変性アガロースゲルブロックに含まれるホルムアルデヒドが酵素活性を阻害するため、添加する酵素量を増やす必要があります。
例)100 mg の 1.5% アガロース S 変性ゲルブロックを 90°C、5 分間でゲルを融解した後、8 µl(8 units)の酵素を添加し、60°C、10 分間の反応でアガロースを分解する。
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資料 Data Sheet
製品マニュアル
SDS(Safety Data Sheet)
リーフレット
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関連情報
備考
- 本酵素は独立行政法人海洋研究開発機構、海洋・極限環境生物圏領域における研究により、有人潜水調査船「しんかい6500」を用いて深海から採取された耐熱性微生物に由来しています。詳しくは、シーエムシー出版『酵素開発・利用の最新技術』第5 章深海微生物からの有用酵素の探索p.41-52(著者;秦田勇二、大田ゆかり、日高祐子、能木裕一)をご参照下さい。
- 本品は試験研究用試薬です。医薬品の用途には使用しないでください。
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