グラム陽性菌は概して細胞壁が厚く、通常のプロトコルではRNAの収量がグラム陰性菌に比べて少なくなります。
そこで、グラム陽性菌の細胞壁をガラスビーズで破壊後、ISOGENを用いてRNAを抽出しました。
グラム陽性菌(3ml培養) | |
↓ 遠心分離(10k×g、4ºC、10分間)(1.5ml×2tube) | |
沈殿*1 | |
↓ ←ISOGEN 300µl | |
↓ ←ガラスビーズ 0.1g | |
↓ Vortex(2〜3分間、室温)*2 | |
↓ ←ISOGEN 700µl*3 | |
↓ インキュベート(55ºC、30分間) | |
↓ 遠心分離(10k×g、4ºC、10分間)*4 | |
上清 | |
↓ ←クロロホルム 200µl | |
↓ 強く混合(15秒間) | |
↓ 静置(3分間、室温) | |
↓ 遠心分離(12k×g、4ºC、15分間) | |
水相(500〜600µl)*5 | |
↓ ←イソプロパノール 500µl | |
↓ 静置(5〜10分間、室温) | |
↓ 遠心分離(12k×g、4ºC、15分間) | |
沈殿 | |
↓ ←70% EtOH 1ml | |
↓ 遠心分離(7.5k×g、4ºC、5分間) | |
沈殿 | |
↓ ←乾燥後100µlのTEに溶解 | |
Total RNA溶液 |
*1 可能な限り培地を除去
*2 RNAの回収率が低い場合には、Vortexでの細胞壁の破壊を徹底することで改善できる。
*3 この時点で、Sample : ISOGEN = 1 : 20になった。
*4 遠心分離によって細胞壁、不溶性の細胞破片、ガラスビーズ、溶菌していない細胞を除去し、上清のホモジネート液のみを新しいチューブに移す。不溶物が混入した場合、再度遠心分離を行う。また、 液量が少なくなった場合は不足分をISOGENで補って混合する。
*5 水相はISOGEN量の60%程度になる。
結果
通常のISOGEN法では少量のRNAしか抽出できなかったが、ガラスビーズを用いた上記実験方法を行った結果、純度、収量ともに大幅に改善された。
菌名 抽出法 OD260/280 RNA収量(µg) 写真 Nocardia otitidis caviarum 通常のISOGEN処理のみ 0.827 0.71 Lane ① Nocardia otitidis caviarum ガラスビーズ+ISOGEN処理 1.618 4.70 Lane ② Staphylococcus aureus PS96 通常のISOGEN処理のみ 0.866 0.74 Lane ③ Staphylococcus aureus PS96 ガラスビーズ+ISOGEN処理 1.798 4.30 Lane ④