新しいゲノム編集技術『CRISPR-Cas3』 について



パンフレット(2024年3月改訂版)ダウンロード

CRISPR-Cas3技術は、東京大学医科学研究所 先進動物ゲノム研究分野の真下知士教授、大阪大学微生物病研究所の竹田潤二招へい教授らの研究成果を基に開発された日本発のゲノム編集技術です。

CRISPR-Cas3 技術は、オフターゲット変異が少なく安全性が高いことやターゲット遺伝子とその周辺を広く削ることができるといった特徴を有しており、国内発の新しいゲノム編集技術として注目されています。
ニッポンジーンは、ゲノム編集技術に必要な研究用試薬を供給することにより、わが国のゲノム編集技術の発展に貢献して参ります。

品名 Code No. 備考
Cascade-crRNA complex, hB2M 312-09471  
 
Cas3 protein NLS 311-09441  
 
Cascade-crRNA複合体作製サービス -  
 

CRISPR-Cas3システム

CRISPR-Cas3は、ガイドRNAにあたるcrRNAと5種類のタンパク質から構成されるCascade(カスケード)が複合体を形成し、標的DNA配列を認識して結合します。そこにCas3タンパク質が結合することでDNAを切断します。CRISPR-Cas3ではCas3タンパク質が標的配列の上流側を連続的に分解することで標的配列を大きく削ることができる性質を持ち、さらにcrRNAの相補配列が32塩基と長いため、従来のゲノム編集技術の課題であったオフターゲットへの影響も極めて低い特長があります。

特長

・ ゲノムの大規模欠損が可能 ・ オフターゲット変異のリスクが低く、特異性が高い(安全性の高いゲノム編集技術) ・ シンプルなライセンスのため、ゲノム編集技術の実用化にむけた戦略が立て易い


図1. CRISPR-Cas3による二本鎖DNAの切断
5種類のタンパク質から構成されるCascadeとcrRNAの複合体に、Cas3が結合することでDNAを切断。

表1. CRISPR-Cas3の特長(CRISPR-Cas9との比較)

CRISPR-Cas3システムを用いたゲノム編集

細胞でのゲノム編集評価(データ提供:C4U株式会社)

β2-ミクログロブリンをコードするB2M遺伝子をターゲットとして実験を行った。エレクトロポレーション法でHEK293T細胞へCas3 protein NLS(Code No.311-09441)及びCascade-crRNA複合体を導入し、培養3日後にFlow CytometoryでB2M遺伝子のノックアウトをHLA-A抗体を使って確認した。また、B2M遺伝子がどの程度欠損が起きているか、クローニング及びシーケンス解析により確認した。


シーケンス解析による欠損領域の確認
B2M遺伝子がどの程度欠損が起きているか、クローニングおよびシーケンス解析により確認した。

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関連情報

ライセンスについて

当社はC4U株式会社とライセンス契約を締結し研究用途のCas3関連製品を提供しています。

ニッポンジーンについて

ニッポンジーンは1982年に設立されたバイオテクノロジー企業です。人、動物、植物、地球(環境)の「健康」をキーワードに、得意とする「遺伝子」と「抗体」の技術を用いて、遺伝子工学研究用試薬、体外診断用医薬品、検査・診断試薬の開発及び製造事業、バイオテクノロジーに関する新規技術開発及び受託研究事業を展開しています。
「健全な生命科学の進歩・発展を支援する」ことを基本方針として、ライフサイエンス分野の研究開発で使用される酵素類をはじめ、核酸抽出や遺伝子増幅用試薬など、多くの研究用試薬を国内で生産し供給しています。

C4Uについて

C4Uの基盤技術である CRISPR-Cas3 技術は、C4Uの創業メンバーである東京大学医科学研究所先進動物ゲノム研究分野の真下知士教授、大阪大学微生物病研究所の竹田潤二招へい教授らの研究成果を基に開発されたCRISPR-Cas3を用いた新しいゲノム編集技術です。
C4Uは、CRISPR-Cas3 技術に関する特許につき国立大学法人大阪大学より再実施許諾権付独占的通常実施権許諾を受け、遺伝性疾患に対する新規の遺伝子治療法の開発及び同技術のプラットフォーム展開を目指しております。

用語の解説

  • ゲノム編集技術:DNA切断酵素と人工的にデザインしたRNAなどを細胞に導入し、ゲノムの局所を選択的に切断、改変する技術です。
  • CRISPR-Cas3:CRISPR-Cas9 同様に二本鎖DNAを切断しますが、crRNA(ガイド)認識配列が長いことから、特異性が高く、オフターゲット変異(狙った部分以外の変異)が少ない、より安全なゲノム編集ツールです。また、大きな欠失を起こすことも可能なため、遺伝子の改変に加えて機能を失わせることも得意としています。
  • CRISPR-Cas9:現在広く利用されるゲノム編集技術の一種で Cas9 がガイドRNA と結合し、ガイドRNA の一部(20塩基のガイド配列)と相補的な DNA を選択的に切断します。ガイド配列を変更することにより、様々な塩基配列をもつ DNA を選択的に切断することができます。

備考

関連製品

問い合わせ先

購入に関するお問い合わせ先
富士フイルム和光純薬株式会社および同社代理店・特約店
製品に関するお問い合わせ先
株式会社ニッポンジーン 学術営業課

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