FRED Assay Kit
DNA断片化測定キット
品名 |
Code No. |
包装単位 |
価格 |
備考 |
FRED Assay Kit for Plant DNA |
310-08671 |
1 kit |
54,000円 |
植物用 |
FRED Assay Kit for Eukaryotic DNA |
317-08681 |
1 kit |
54,000円 |
真核生物用 |
製造元 (株)ニッポンジーン
表示価格は希望納入価格 (税別) です。
製品説明
本製品は、標的配列の長さが異なる2種類のPrimer & Probeを用いてリアルタイムPCRを行い、得られたCt値を比較することで、植物DNAまたは真核生物DNAの断片化の程度を定量的に評価するためのキットです。
本製品は、FRED (Fragmentation analysis using multiple Real-time PCRs with Equivalent amplification efficiency and Different amplicon sizes) 法と呼ばれる分析技術を採用しており、DirectAce qPCR Mix Plus ROX Tubeとの組合せで、断片化の程度を示すDNA断片化指数を算出することが可能です。 加工食品等、DNAが断片化した試料を対象とした遺伝子検査を行う際に、断片化指数はDNAの品質の指標として利用することができます。
FRED法によるDNA断片化測定の原理
標的配列の長さが異なる2 種類のPrimer & Probe を用いてリアルタイムPCR を行うと、鋳型DNA の断片化の程度に応じて、標的配列の長い増幅曲線の立ち上がりが遅れ、2 つの増幅曲線のCt 値に差が生じます。
2 つの増幅曲線のCt 値の差から、100 bp の標的DNA のうち、断片化して鋳型にならないDNA の割合を示す理論値であるDNA 断片化指数 【DFI: DNA Fragmentation Index】を算出し、鋳型DNA の断片化の程度を数値化します。
特長
リアルタイムPCRのCt値から断片化の程度を定量的に評価
算出した断片化指数は、DNAの品質指標として利用できる
- GM検査や品種判別、アレルゲン検査など、加工食品を対象とする遺伝子検査の品質管理に利用することができる
- 植物性食品の加熱殺菌の有無や、加熱調理時間の推定などにも応用が期待できる
【注意事項】
・ 本製品では、リアルタイムPCR装置のUp Ramp Rate および Down Ramp Rate を「1.6℃ / sec」に設定する必要があります。
ご利用の前に、お手持ちのリアルタイムPCR装置で設定できるかご確認ください。
(ABI Prism® 7900 および ABI Prism® 7500 の場合、Ramp Rate を変更せず、Standard Mode を使用します。)
・ 本製品は「DirectAce qPCR Mix Plus ROX Tube」と組合せて使用することを前提として設計されたキットです。他のリアルタイムPCR 試薬ではご使用になれません。 本製品をご使用される際は別途「DirectAce qPCR Mix Plus ROX Tube」(Code No. 318-07751)をお買い求め下さい。
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製品内容
使用回数
1回毎に1サンプルずつプレミックスを調製する場合、本キットは15サンプル分に相当します。
(1回毎に10サンプルずつプレミックスを調製する場合、本キットは40サンプル分に相当します)
保存方法
-20°C(遮光)
FRED Assay Kit for Plant DNA (1 kit)
構成品 |
容量 |
備考 |
No Fragmentation Control |
300 µl x 1 |
コントロール用プラスミドDNA溶液(以下、「NFC」) |
P100 Primer & Probe Mix |
900 µl x 1 |
オリゴDNA溶液(約100 bp増幅) |
P200 Primer & Probe Mix |
900 µl x 1 |
オリゴDNA溶液(約200 bp増幅) |
P400 Primer & Probe Mix |
900 µl x 1 |
オリゴDNA溶液(約400 bp増幅) |
FRED Assay Kit for Eukaryotic DNA (1 kit)
構成品 |
容量 |
備考 |
No Fragmentation Control |
300 µl x 1 |
コントロール用プラスミドDNA溶液(以下、「NFC」) |
E100 Primer & Probe Mix |
900 µl x 1 |
オリゴDNA溶液(約100 bp増幅) |
E200 Primer & Probe Mix |
900 µl x 1 |
オリゴDNA溶液(約200 bp増幅) |
E350 Primer & Probe Mix |
900 µl x 1 |
オリゴDNA溶液(約350 bp増幅) |
本製品に、DNA抽出キット「GM quicker 4」、リアルタイムPCR試薬「DirectAce qPCR Mix Plus ROX Tube」、等の試薬は含まれておりません。別途ご用意ください。
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使用例
DNA断片化指数(DFI, DNA fragmentation index)の算出
DNA断片化指数(DFI)は、ゲノムDNAに切断が生じている割合を100塩基単位で算出した理論値である(0以上1以下)
Data 1: FRED Assay Kit for Plant DNAを使用した味噌DNAの断片化評価(P100とP400の組み合わせでDFIを算出)
方法
- 味噌から加工食品用DNA抽出キット「GM quicker 4」を用いてDNAを抽出し、得られた溶出液をサンプル用鋳型DNAとして使用した。
- 本キットから「NFC」(コントロール用鋳型DNA)と「P100」と「P400」のPrimer & Probe Mixのチューブを取り出して使用した。
- リアルタイムPCR試薬「DirectAce qPCR Mix Plus ROX Tube」を用いて 2 種類のPrimer & Probe Mix でそれぞれプレミックスを調製して小分けした後、各DNA溶液を混合して反応溶液を用意し、96 ウェルのPCR プレートへ分注してリアルタイムPCRを行った。(使用機種:ABI7500)
- 反応終了後、解析を行い、各ウェルのCt 値が算出されていることを確認した。
DNA 断片化指数(DFI, DNA fragmentation index)の算出
- NFC を2 種類のPrimer & Probe Mix で増幅させた際のCt 値の差「⊿Ct(NFC)」を求めた。
⊿Ct(NFC)=Ct(P400)-Ct(P100)=22.86-23.19=-0.33
- サンプルを2 種類のPrimer & Probe Mix で増幅させた際のCt 値の差「⊿Ct(Sample)」を求めた。
⊿Ct(Sample)=Ct(P400)-Ct(P100)=36.74-27.34=9.4
- ⊿Ct(Sample)から⊿Ct(NFC)を引いた「⊿⊿Ct」を求めた。
⊿⊿Ct=⊿Ct(Sample)-⊿Ct(NFC)=9.4-(-0.33)=9.73
- 得られた⊿⊿Ct から「DNA 断片化指数(DFI)」を求めた。
DFI=0.894 【エクセル関数の例:"=1-POWER(1/2, 9.73/3)"】
結果
味噌DNA(1サンプル)の断片化指数DFIは「0.894」だった。
DFI は0~1 の値で算出される。「DFI = 0.894」と算出された場合、理論上、鋳型DNA 溶液中に含まれる100 bp の標的DNA のうち、約9割のDNA が断片化して PCR の鋳型にならない状態であることを示している。
Data 2: 加熱処理したトウモロコシDNAの断片化評価
加熱処理したトウモロコシDNA溶液を鋳型にリアルタイム PCR を行い、植物用キット「FRED Assay Kit for plant DNA」のP100とP400の組み合わせでそれぞれDFIを算出した(下図のDFIは、2回測定の平均)。
結果 サンプルの加熱時間と連動してDFI値が増加した。
Data 3: 加熱処理したカイコDNAの断片化評価
カイコDNA溶液(未処理のものとヒートブロックで加熱したもの)を鋳型にリアルタイム PCR を行い、真核生物用キット「FRED Assay Kit for Eukaryotic DNA」のE100とE350の組み合わせでそれぞれDFIを算出した。
結果 未処理のものと加熱したものでDFI値が変化した。
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Q & A
- どのPrimer & Probe の組合せで評価したらよいですか。
- Primer & Probe Mix の組合せは、まずP100 とP400 (真核生物用キットの場合はE100とE350)を選択して下さい。対象のDNA が高度に断片化しており、P400 で増幅が認められない場合や、0.99 など極端に高いDFI が算出された場合は、P100 とP200(真核生物用キットの場合はE100とE200)のPrimer & Probe の組合せを使用して再度評価を行って下さい。
長時間加熱された食品由来のDNA など高度に断片化していることが予想されるDNA の場合も、P100 とP200 の組合せを使用して評価を行って下さい。
- 「DirectAce qPCR Mix Plus ROX Tube」以外のPCR試薬は使用できますか。
- 本製品は DirectAce qPCR Mix Plus ROX Tube と組合せて使用することを前提として設計されたキットです。他のリアルタイムPCR 試薬ではご使用になれません。
- 96ウェルPCRプレートの代わりに 8 連チューブなどは使用できますか。
- 8 連チューブなどは使用せず、必ず96 ウェルPCRプレートをご使用ください。
サンプルを配置する際には、96 ウェルPCR プレートのA 行とH 行は可能な限り使用しないことを推奨いたします。
- 植物種によって測定できないことはありますか。
- 植物種に依存しないことを確認しております。
トウモロコシ、コムギ、イネ、ダイズ、ナタネ、テンサイから抽出したDNA溶液を本キットで評価したときには、植物種によらず測定することができました。
- DNA濃度が変わると測定結果に差はありますか。
- DNA濃度に依存しないことを確認しております。
- 機種の異なるリアルタイムPCR装置を使用しても、DFI値は同じになりますか。
- 機種の異なるリアルタイムPCR装置を使用した場合、同じDNAサンプルでも、算出されるDFIは完全には一致しません。DFIを比較する際は、同一機種を使用して評価を行ってください。
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資料 Data Sheet
製品マニュアル
SDS(Safety Data Sheet)
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関連情報
License
- 本製品は、農研機構、株式会社日清製粉グループ本社、日本製粉株式会社が所有する特許第6120279 号のライセンスを受けて製造・販売しています。
備考
- 本品は試験研究用試薬です。医薬品の用途には使用しないでください。
参考文献
- Mano J, Nishitsuji Y, Kikuchi Y, Fukudome SI, Hayashida T, Kawakami H, Kurimoto Y, Noguchi A, Kondo K, Teshima R, Takabatake R, Kitta K: Quantification of DNA fragmentation in processed foods using real-time PCR. Food Chem., 226, 149-155 (2017)
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