ISOIL、ISOIL for Beads BeatingおよびF社取扱い製品を用いて抽出した土壌DNAについて、アガロースゲル電気泳動を行った。土壌試料はそれぞれ0.5 gを使用し、抽出は各製品の標準プロトコルに従って行った。また、参考として、ISOILおよびISOIL for Beads Beatingで抽出したDNAサイズの比較も行った。
ISOILおよびISOIL for Beads Beatingで3種類の土壌サンプルから十分な量のDNAを抽出することができた。一方、F社取扱い製品では火山灰土壌であるアロフェン質黒ボク土からはDNAがほとんど得られなかった。また、ISOILで得られるDNAの長さは50 kbp以上であり、ISOIL for Beads Beatingでは~23 kbpであった。
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ISOILおよびISOIL for Beads Beatingを用いて抽出した土壌DNAのPCR-DGGE(変性剤濃度勾配ゲル電気泳動)解析を行った。
それぞれの土壌試料で特徴的なバンドパターンが得られた。また、抽出DNAは特に精製することなくPCR-DGGE解析に用いることができた。
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ISOILおよびISOIL for Beads Beatingで抽出した土壌DNAを鋳型として、PCRによる系統群の検出を行った。
Small-Scale DNA Sample Preparation Method for Field PCR Detection of Microbial Cells and Spores in Soil.
Kuske CR, Banton KL, Adorada DL, Stark PC, Hill KK, Jackson PJ: Appl Environ Microbiol, 64(7), 2463-72 (1998).
抽出した土壌DNAはPCRの鋳型としてそのまま使用でき、また、従来の製品ではDNAの抽出が難しく解析が困難であったアロフェン質黒ボク土試料からもはっきりとしたPCRバンドが得られた。
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ISOILおよびISOIL for Beads Beatingで抽出したDNAをEcoR I で消化し、アガロースゲル電気泳動した。
ISOILおよびISOIL for Beads Beatingで抽出したDNAは、制限酵素処理の基質として十分な品質であることが分かった。
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ISOIL for Beads BeatingおよびF社取扱い製品で抽出したDNAの純度を比較した。抽出したDNAの濃度をあらかじめ測定した後、A260の値が約0.2となるようにサンプルを調製し、200~800 nmの連続波長を測定した。また、DNAの純度を比較する対照としてLambda DNA を使用した。
東大弥生圃場対照区土壌 |
埼玉農試畑土壌 |
兵庫農試森林土壌 |
アロフェン質黒ボク土, 火山灰土壌 | 灰色低地土, 非火山灰土壌 | 褐色森林土, 非火山灰土壌 |
F社製品で抽出した土壌DNAは不純物が多く、正確なA260の測定が困難だった。一方、ISOIL for Beads Beatingで抽出した土壌DNAの吸収スペクトルはA260にピークのある理想的なDNAの吸収スペクトルに近かったことから、抽出した土壌DNAは従来品(F社製品)より高純度であることが分かった。
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活性汚泥等の液状のサンプルからDNAを抽出する場合、下記のようにプロトコルを若干変更することで、DNAの収量が増加する。
ISOIL の場合
土壌液状サンプル(500 μl)を マイクロチューブに入れる
↓←450 μl, Lysis Solution HE
↓←50 μl, Lysis Solution 20S
↓転倒混和
↓インキュベート(65゜C, 60分間) *1
↓遠心(12,000 x g, 1分間, 室温)
上清600 μl を新しいチューブに移し、
以降の操作はマニュアルに記載のプロトコール通りに行う
ISOIL for Beads Beatingの場合
土壌液状サンプル(500 μl)を Beads Tube に入れる
↓←450 μl, Lysis Solution BB
↓←50 μl, Lysis Solution 20S
↓ビーズビーティング *2
↓インキュベート(65゜C, 30分間) *1
↓遠心(12,000 x g, 1分間, 室温)
上清600 μl を新しいチューブに移し、
以降の操作はマニュアルに記載のプロトコール通りに行う
*1インキュベートの間10分間隔で数回転倒混和する
*2 別途 ビーズ式破砕装置(2 mlチューブ対応)が必要になります
活性汚泥0.5 mlから抽出したDNAの1/20量を1% Agarose Sで電気泳動を行った。
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土壌サンプル 0.5 g あたり 20 mgのスキムミルクをLysis Solution BBに添加してDNAを抽出する。改変プロトコールは、スキムミルク入りのLysis Solution BBを調製する以外は、標準プロトコールと同じである。
1. Lysis Solution BB(950 μl x サンプル数)を65°Cに温めておく
2. スキムミルク(20mg x サンプル数)を測り取り、適切なチューブに入れる
3. あらかじめ65°Cに温めておいた(950 μl x サンプル数)を加えよく混合する
上記手順で用意したスキムミルク入り Lysis Solution BB または Lysis Solution BB SP1 を Lysis Solution BB、Lysis Solution BB SP1の代りに使用し、その他の部分は通常通りのプロトコールで抽出操作を行った。6種類の土壌から抽出したDNAを電気泳動した。
M : OneSTEP Marker 1(λ/Hind III) 1 : ISOIL for Beads Beating(Lysis Solution BB) 2 : ISOIL for Beads Beating(Lysis Solution BB SP1) 3 : ISOIL for Beads Beating(Lysis Solution BB+スキムミルク) 4 : ISOIL for Beads Beating(Lysis Solution BB SP1+スキムミルク) |
スキムミルク入りのLysis Solution BBは、Lysis Solution BB SP1と同様にアロフェン質の多いサンプルに有効であった。
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