マツ材線虫病診断キット
Bursaphelenchus xylophilus Detection Kit
品名
Code No.
包装単位
価格
備考
マツ材線虫病診断キット
NE0041
24 テスト用
25,000円
マツ材線虫病診断キット
NE0043
96 テスト用
96,000円
製造元 (株)ニッポンジーン
販売サイト ニッポンジーンECサイト
表示価格は希望納入価格 (税別) です。
製品説明
マツ材線虫病診断キット(24テスト用)
マツ材線虫病診断キット(96テスト用)
本キットは、LAMP法を利用してマツ材線虫病の病原体であるマツノザイセンチュウ (Bursaphelenchus xylophilus )を検出するキットです。LAMP法によりマツノザイセンチュウゲノムDNAの一部を増幅し、増幅の有無からマツノザイセンチュウの存在を判定します。
検出に必要な操作は、
①Bx抽出液 (キット添付) を用いてマツ材片からマツノザイセンチュウのDNAを抽出した後、
②DNAを検査溶液に添加して63°Cに60分間保温するのみであり、極めて簡便です。
判定にはDNA増幅の有無を蛍光発色液の発色の有無によって確認する目視判定法を採用しており、DNA増幅反応から検出までを同一反応チューブ内の完全閉鎖系で行うため、安全に短時間でマツノザイセンチュウゲノムDNAを検出することが可能です。
特長
抽出から検出までを備えたキット
DNA簡易抽出試薬を含むため、一連の操作を行うことができます。
シンプルな使用方法
DNAサンプルを検査溶液に添加して63°Cで1時間保温するだけで検査できます。
きわめて高感度な検査
微量なDNAサンプルからも正確に判定できます。
明確な判定方法
判定は蛍光の発色を採用していますので、簡単に陰性、陽性を判別できます (下図参照)。
検査環境の汚染リスクを低減
電気泳動などの操作による汚染の心配がありません。
陰性
陽性
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製品内容
マツ材線虫病診断キット (24テスト用、96テスト用)
構成品
24テスト用
96テスト用
保存
備考
検査用チューブ
24本
24本 x 4
室温
抽出用チューブ
24本
100本
室温
Bx 検査液
410 μl
410 μl x 4
-20°C遮光
Bx 酵素液
20 μl
20 μl x 4
-20°C遮光
蛍光発色液
20 μl
20 μl x 4
-20°C遮光
Bx 陽性コントロール
25 μl
25 μl x 4
-20°C遮光
ミネラルオイル
500 μl
500 μl x 4
-20°C遮光
Bx 抽出液
10 ml x 2
10 ml x 8
-20°C遮光
輸送方法
株式会社ニッポンジーンでは、ドライアイス梱包で製品をお届けいたします。 納品当日、製品を確実にお受取りいただき、到着次第できるだけ早く-20°Cフリーザーにて保存してください。
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使用例
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Q & A
マツ材片の採取方法について
本キットでは、対象とするマツ樹木の「幹」からマツ材片を採取します。直径 15 mm の木工用ドリルを用いて、幹の太さに応じて深さ 5 cm ないし 8 cm の穴を開けると材片を採取できます。採取するマツ材片に樹皮は不要です。
マツ材片の採取位置について
下記リンク先の資料によると、胸高部より上 (1 mほど) など高い位置から採ると陽性率が高いようです。(文献13)
マツ成木におけるマツノザイセンチュウの樹体内分布ー病徴発症初期における効率的な検出のためにー (林野庁東北森林管理局様、外部サイトリンク)
ただし感染の初期は病徴 (枯れ) がなく、線虫は分散して低密度化している場合があるため注意が必要です。
キットを使用する場合、「一箇所だけでなく、複数箇所から材片を採ってみる」、「同じ位置から採取した材片で複数のテストをする」などの対処により取りこぼしは低減すると考えられます。
また、多くはマツノマダラカミキリが囓った摂食痕からマツノザイセンチュウが樹体内へ侵入しますが、産卵痕から侵入することもあります。そのため、マツノマダラカミキリによる産卵痕がサンプリング部位のひとつの目安になるかも知れません (産卵痕周辺への局在)(文献11、16) 。
検査時期について
材片採取は地域や時期によらず、枯れていると気付いたらその時に行うことをお勧めします (葉が赤く枯れ上がっていれば、検査の対象となります)。
関東以西の暖かい地域では、夏に感染すると秋には真っ赤に枯れてしまうため、秋に採取し確定のための検査を行います。
東北地方などでは気温が低く、病徴の進行が遅いため一年中枯れが発生します。寒い地域で感染後に年を越して枯れた場合 (年越し枯れ:年明けから 5、6月ごろまでに枯れた木)、線虫は検出されにくい傾向があります (全身に線虫が蔓延・拡散せず、一部に局在したままになるため)。
インキュベーター (恒温器) の代わりに使用できる安価な保温器はありませんか?
55˚Cや63˚Cの保温に魔法瓶 (真空断熱容器) を、94~100˚Cの保温には電気ポットや手鍋で沸騰させたお湯が使用可能です。魔法瓶には、ジャータイプなど広口の容器が扱いやすいです (400 ml 以上の熱湯を入れておくと60分間で1˚C程度しか低下しません)。
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資料 Data Sheet
製品マニュアル
SDS(Safety Data Sheet)
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関連情報
備考
本品は試験研究用試薬です。医薬品の用途には使用しないでください。
LAMP (Loop-mediated Isothermal Amplification) 法は、栄研化学株式会社により開発された日本産の等温遺伝子増幅法です。
2025年1月30日 マツ材線虫病診断キット 仕様変更のご案内(PDF)
2025年2月~3月頃より、現行品と仕様変更品が混在する場合がございますが、ご了承いただけますようお願い申し上げます。
参考文献
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伊藤 英敏、神崎 菜摘、菊地 泰生 (2010) 家庭にある材料と診断キットによるマツ材線虫病診断 森林防疫 59 (2): 55
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木村 公樹、相川 拓也、山本 貴一、前原 紀敏、市原 優、今 純一、中村 克典 (2011) 青森県蓬田村に発生したマツ材線虫病被害木におけるマツノザイセンチュウの検出および媒介昆虫の加害状況.
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阿部 豊 (2016) ベールマン法とマツ材線虫病診断キットの応用と課題. グリーン・エージ 2016年6月号 (No. 510号)
石黒 秀明、相川 拓也 (2016) マツノマダラカミキリの産卵痕を経由したアカマツ枯死木へのマツノザイセンチュウの侵入. 日本森林学会誌 98 : 124
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石黒 秀明、相川 拓也 (2018) マツノマダラカミキリの産卵痕からクロマツ枯死木へ侵入したマツノザイセンチュウの樹体内での分散とカミキリ成虫への乗り移り. 日本森林学会誌 100 : 2
License
LAMP法を用いたマツノザイセンチュウの検出法は、国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所が特許を保有しています。株式会社ニッポンジーンは、LAMP法を用いたマツノザイセンチュウ検出の実施許諾を受けています。