マツ材線虫病検査サービス
LAMP法を用いた植物病検査サービス Bursaphelenchus xylophilus Detection
品名 |
Code No. |
包装単位 |
価格 |
備考 |
マツ材線虫病検査サービス |
NE3513 |
10 検体用 |
57,800 円 |
|
製造元 (株)ニッポンジーン (検査実施 ㈱ニッポンジーン マテリアル)
販売サイト e Genome Order
表示価格は希望納入価格 (税別) です。
製品説明
本サービスは、お客様よりお送り頂きました「マツ材片」(検体)を「マツ材線虫病診断キット」を用いて遺伝子検査によって病原体のマツノザイセンチュウの有無を検査するサービスです。
本サービスは、弊社の子会社であるニッポンジーン マテリアルにて検査を実施いたします。
特長
マツ材片(検体)をお届けする専用容器に入れて送っていただくだけ。
きわめて高感度な検査です。
マツ材線虫病 は、マツノマダラカミキリにより伝搬されるマツノザイセンチュウが引き起こすマツ類の病害です。
マツ材線虫病は北アメリカからの侵入病害であり、アカマツ、クロマツ、リュウキュウマツ、ゴヨウマツなど、抵抗性を持たない日本のマツ類に重大な被害をもたらしています。
罹病木ではマツノザイセンチュウがマツの柔細胞やマツの衰弱に伴って樹体内に侵入した青変菌を摂食して急激に増殖するため、最終的に数ヶ月でマツが枯死に至ります。
枯死木にはマツノマダラカミキリが飛来して産卵し、成虫の羽化に伴って虫体内へ移動したマツノザイセンチュウは新たなマツへと伝搬されます。
罹病木から健全木への感染拡大を防止するためには罹病木の早期発見、除去が不可欠となります。
一般的に、マツノザイセンチュウに感染したマツは伐倒し、薬剤によるくん蒸や破砕・焼却などをおこない、健全なマツは線虫の増殖を防ぐ為に樹幹注入剤などを用いて被害拡大を防いでいます。
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製品内容
「マツ材線虫病検査サービス」キット一式 (10検体用)
構成品 |
10検体用 |
保存 |
備考 |
検体保管用容器 |
10本 |
室温 |
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検査依頼書 |
1枚 |
室温 |
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検体管理番号お客様控え |
1枚 |
室温 |
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検体送付用袋 |
1枚 |
室温 |
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検体送付用着払い伝票 |
1枚 |
室温 |
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輸送方法
キットは、クロネココンパクト専用BOX(ヤマト運輸)にてお届けします。
サービスの流れ
- e Genome Orderサイトよりご注文いただき、ニッポンジーン マテリアルからお送りする「マツ材線虫病検査サービス」キット一式をお受け取り下さい。
* 検査サービスキットの有効期間は、到着後2ケ月です。
- キットに入っている「検体保管用容器」にマツ材片(検体)をそれぞれ5枚以上いれて、必要事項を記入した「検査依頼書」と一緒にクール宅急便(冷蔵タイプ)にてニッポンジーン マテリアルまでお送り下さい。
* 検体採取後は冷蔵保存し、2日以内にニッポンジーン マテリアルへ送付して下さい。
* 検体を一度に“まとめて”お送り下さい。
- お送りいただいたマツ材片(検体)について遺伝子検査を行います。
- 検体到着後、2週間以内に検査結果の報告をメールでお送りします。
ご利用上の注意点
- 採取した検体は、添付の検体保管用容器に入れて冷蔵保存を行い、採取後2日以内に“クール宅急便(冷蔵タイプ)”にてお送り下さい。
検体の状態によっては、検査結果が得られない事がございますのでご注意下さい。
尚、お送り頂いた検体は検査終了後に廃棄処分する為、返却することは出来ません。
- 検体を一度に“まとめて”お送り下さい。
全ての検体が届いていない場合、残りを後から検査する事は出来ませんのでご注意下さい。
- 検査結果は、お送り頂いた検体に対する結果となります。
感染初期などでは、検体の採取場所によっては“検出されない”事もございますので予めご了承下さい。
- ご依頼者が管理されている植物以外の検査依頼はご遠慮下さい。
検査結果が原因で生じたトラブルについて弊社は一切の責任を負うことは出来ません。
- 検査サービスキットを送付してから、2ヶ月以内に検体を弊社までお送り下さい。
期間を越えると検査を行うことが出来ませんのでご注意下さい。
- 検体が到着後、2週間以内に検査結果をメールにてご連絡致します。
ニッポンジーン マテリアルからのメール(kensa-support @nippongene-analysis.com)が受信できるように、予め設定が必要な際はご対応をお願い致します。
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使用例
マツ材片採取の例
検体採取に使用した“ドリルの刃先”や“ピンセット”などは、使用ごと(検体ごと)にアルコール配合されたウエットティッシュ等で拭き取って下さい。
同じ器具をそのまま別の検体に使用しますと、誤った結果が出るおそれがあります。
検査結果報告書の例
クリックすると別窓で拡大画像
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Q & A
- マツ材片の採取方法について
- 対象とするマツ樹木の「幹」からマツ材片を採取します。直径 15 mm の木工用ドリルを用いて、幹の太さに応じて深さ 5 cm ないし 8 cm の穴を開けると材片を採取できます。採取するマツ材片に樹皮は不要です。
- マツ材片の採取位置について
- 下記リンク先の資料によると、胸高部より上 (1 mほど) など高い位置から採ると陽性率が高いようです。(文献14)
マツ成木におけるマツノザイセンチュウの樹体内分布ー病徴発症初期における効率的な検出のためにー (林野庁東北森林管理局様、外部サイトリンク)
ただし感染の初期は病徴 (枯れ) がなく、線虫は分散して低密度化している場合があるため注意が必要です。
「一箇所だけでなく、複数箇所から材片を採ってみる」、「同じ位置から採取した材片で複数のテストをする」などの対処により取りこぼしは低減すると考えられます。
また、多くはマツノマダラカミキリが囓った摂食痕からマツノザイセンチュウが樹体内へ侵入しますが、産卵痕から侵入することもあります。そのため、マツノマダラカミキリによる産卵痕がサンプリング部位のひとつの目安になるかも知れません (産卵痕周辺への局在)(文献11、15)。
- 検査時期について
- 材片採取は地域や時期によらず、枯れていると気付いたらその時に行うことをお勧めします (葉が赤く枯れ上がっていれば、検査の対象となります)。
関東以西の暖かい地域では、夏に感染すると秋には真っ赤に枯れてしまうため、秋に採取し確定のための検査を行います。
東北地方などでは気温が低く、病徴の進行が遅いため一年中枯れが発生します。寒い地域で感染後に年を越して枯れた場合 (年越し枯れ:年明けから 5、6月ごろまでに枯れた木)、線虫は検出されにくい傾向があります (全身に線虫が蔓延・拡散せず、一部に局在したままになるため)。
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資料 Data Sheet
リーフレット
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関連情報
備考
- LAMP (Loop-mediated Isothermal Amplification) 法は、栄研化学株式会社により開発された日本産の等温遺伝子増幅法です。
参考文献
- 相川 拓也 (2006) マツノザイセンチュウの伝播機構 -どのように媒介昆虫へ乗り移りそして離脱するのか- 日本森林学会誌 88 (5): 407
- 相川 拓也、神崎 菜摘、菊地 泰生 (2010) マツノザイセンチュウのDNAを利用した簡易なマツ材線虫病診断ツール”マツ材線虫病診断キット”について 森林防疫 59 (2): 60
- 相川 拓也 (2011) マツノザイセンチュウのDNAを利用した新しい診断法 –マツ材線虫病診断キット- 樹木医学研究 15 (2): 41
- 伊藤 英敏、神崎 菜摘、菊地 泰生 (2010) 家庭にある材料と診断キットによるマツ材線虫病診断 森林防疫 59 (2): 55
- Aikawa T, Kikuchi T, Kosaka H. (2003) Demonstration of interbreeding between virulent and avirulent populations of Bursaphelenchus xylophilus (Nematoda: Aphelenchoididae) by PCR-RFLP method. Appl. Entomol. Zool. 38 (4): 565
- Kikuchi T, Aikawa T, Oeda Y, Karim N, Kanzaki N. (2009) A rapid and precise diagnostic method for detecting the Pinewood nematode Bursaphelenchus xylophilus by loop-mediated isothermal amplification. Phytopahology. 99 (12): 1365
- Notomi T, Okayama H, Masubuchi H, Yonekawa T, Watanabe K, Amino N, Hase T. (2000) Loop-mediated isothermal amplification of DNA. Nucleic Acids Res. 28 (12): e63
- Prince AM, Andrus L. (1992) PCR: how to kill unwanted DNA. Biotechniques. 12 (3): 358
- 木村 公樹、相川 拓也、山本 貴一、前原 紀敏、市原 優、今 純一、中村 克典 (2011) 青森県蓬田村に発生したマツ材線虫病被害木におけるマツノザイセンチュウの検出および媒介昆虫の加害状況.
東北森林科学会誌 16 (1): 7
- Kanetani S, Kikuchi T, Akiba M, Nakamura K, Ikegame H, Tetsuka K (2011) Detection of Bursaphelenchus xylophilus from old discs of dead Pinus armandii var. amamiana trees using a new detection kit. Forest Pathology 41 (5): 387
- 相川 拓也、中村 克典、市原 優、前原 紀敏、水田 展洋 (2013) 同一マツ枯死木から脱出したマツノマダラカミキリ成虫が保持するマツノザイセンチュウ数の変異-津波被害によって発生した枯死木の事例-. 森林防疫 62: 130
- Hoshizaki K, Nakabayashi Y, Mamiya Y, Matsushita M (2016) Localized within- and between-tree variation in nematode distribution during latent state of pine wilt disease makes the disease status cryptic. Forest Pathology 46 (3): 200
- 阿部 豊 (2016) ベールマン法とマツ材線虫病診断キットの応用と課題. グリーン・エージ 2016年6月号 (No. 510号)
- 中林 優季、松下 通也、星崎 和彦、相川 拓也 (2013) マツ成木におけるマツノザイセンチュウの樹体内分布ー病徴発症初期における効率的な検出のためにー. 林野庁東北森林管理局WebサイトURL: http://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/sidou/pdf/24g16.pdf
- 石黒 秀明、相川 拓也 (2016) マツノマダラカミキリの産卵痕を経由したアカマツ枯死木へのマツノザイセンチュウの侵入. 日本森林学会誌 98: 124
- 相川 拓也 (2014) 線虫学実験 (京都大学学術出版会): 66
- 青森県産業技術センター林業研究所 (2013) マツ材線虫病(松くい虫被害)の監視・防除対策 ~対策の手引き~. 地方独立行政法人青森県産業技術センターWebサイトURL: http://www.aomori-itc.or.jp/assets/files/rinshi/pine%20disease%20manual.pdf
License
- LAMP法を用いたマツノザイセンチュウの検出法は、国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所が特許を保有しています。
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