CapSite® Hunting ガイド


(CapSite®Huntingを行う前に必ずお読みください。)

1. Cap Site cDNA®の製品コンセプトとCapSite® Huntingを行う際の考え方

Cap Site cDNA®は、mRNAの5'末端のキャップ構造を合成オリゴリボヌクレオチド(rOligo)に置換後、ランダムプライマーを用いて逆転写して合成した第一鎖cDNAであるため、mRNA由来の5'末端配列を特異的に検出するようにデザインされている。従って、

  1. mRNAの5'末端を正確に解析することを目的としているため、この製品でmRNAの3'末端配列情報を得ることは不可能である。
  2. Cap Site配列を得る目的で行うPCR(CS-PCR)の成否は、目的遺伝子の発現量やその増幅サイズに依存する。CS-PCRによる増幅サイズは500bp以下にすることが大切である。また、Cap Site cDNA®を用いてCapSite® Huntingを行うには次のような注意が必要である。
    1. 必ずnested PCRを行う。使用するプライマーによっては1st PCRのときにミスアニーリングに起因する増幅産物が観察される。発現量が多くないのに1st PCRで増幅産物が検出される場合は、発現量の多い遺伝子にミスアニーリングしていることがある。そこで、目的遺伝子を特異的に増幅する目的でnested PCRを行うのである。従って、ノーザン解析の結果、発現が確認されている場合でも、少なくとも2本のプライマー(TGP1及びTGP2)を設計することが必要である。目的遺伝子に対する情報が少ない場合には、6本程度のプライマーを設計し、組み合わせてnested PCRを行う。この場合、増幅サイズが500bp以下になるように設計することが大切である。
    2. ノーザン解析で発現が確認されない場合、発現量が低いと予想される場合、GC含量が高いことが分かっている場合、さらに上流のCap Siteまでの距離が推定できない場合は、CapSite® Huntingで特異的な増幅産物を得ることは困難であると予想される。このような場合は、プライマー設計が非常に重要である。次の「2. プライマーの設計の条件」に、添付のrOligo相補的配列部分に特異的なプライマー(1RC及び2RC)と組み合わせてPCRを行った際に、高い効率で増幅することが確認されたプライマー(TGP)の設計基準を示す。
    3. CS-PCRの特異性を高めるために"hot start"法を行うことは非常に有効である。

2. プライマーの設計の条件

 Cap Site cDNA®を用いたCapSite® Huntingで使用するプライマーの位置関係を図3に示す。ここで、TGP-Senseは目的遺伝子のセンスプライマーで、これとTGP2との組み合わせで得られる増幅バンドがポジティブコントロールとなるので、同時に合成することを推奨する。

1RC Primer, 2RC Primer:
Cap Site cDNA®のrOligo相補的配列部分に特異的なにプライマーで、製品に添付されている。

TGP1, TGP2:
目的遺伝子特異的プライマー(target-gene specific primer)で、遺伝子のアンチセンス鎖である。実験前に準備が必要である。

TGP-Sense:
目的遺伝子特異的プライマー(target-gene specific primer)で、遺伝子のセンス鎖である。nested PCRのポジティブコントロールとなるので、合成し、実験系に入れることを推奨する。

1RCがrOligoの外側、2RCは1RCよりも目的遺伝子側。TGP1、TGP2は目的遺伝子の既知配列を用いて設計。TGP2はTGP1よりもrOligo側。TGP Senseは既知配列中にTGP1、TGP2とPCRできるように設定する。
図3 Cap Site cDNA®とCapSite® Huntingで使用するプライマーの位置関係

また、nested PCR後の理想的な電気泳動像は図4のようになる。

TGP1+1CRよりもTGP2+2RC産物が短い
図4 nested PCR後の電気泳動像

目的遺伝子特異的プライマー(TGP)の設計条件は次の通りである。
・プライマー長 : 20〜22bp
・Tm : 62〜66°C
・3'末端塩基 : GあるいはC
また、合成するプライマーの本数は、目的遺伝子の情報が豊富な場合で少なくとも2本、情報が少ない場合は6本程度必要である。複数のプライマーをいろいろ組み合わせてnested PCRする。

3. CS-PCRの条件

 本マニュアルでのPCRは、全て耐熱性酵素としてGene Taq NTを使用している。従って、これ以外の耐熱性酵素を使用する場合には条件、特に伸長反応時間を検討する必要がある。
 伸長時間を必要以上に長くすると非特異的な増幅が観察される場合がある。ロングPCRを目的とした耐熱性酵素を使用する場合には、伸長時間を短くする必要があるかもしれない。PCRは通常以下の設定で行う。

1st PCR
95°C5 min.
95°C20 sec.35 Cycles
60°C20 sec.
72°C20 sec.
72°C5 min.

nested PCR
95°C5 min.
95°C20 sec.25 Cycles
60°C20 sec.
72°C20 sec.
72°C5 min.

*Riceの場合
94°C5 min.
94°C30 sec.1st PCR : 35 Cycles
nested PCR : 25 Cycles
55°C30 sec.
72°C45 sec.
72°C5 min.

 反応を行う直前まで、反応溶液は氷上に置き、ミスアニーリングによるミスリーディングを極力抑える必要がある。サーマルサイクラーが95°Cに達したところで、反応チューブをセットして反応を開始する。特異性を高めるために、"hot start"法は非常に有効である。6)-8)

[参考文献]

6) D'Aquila, R. T., Bechtel, L. J., Videler, J. A., Eron, J. J., Gorczyca, P. and Kaplan, J. C. : Nucleic Acids Res., 19, 3749(1991)
7) 川上文清, 上村秀喜 : 細胞工学, 14(9),1076(1995)
8) Chou, Q., Russell, M., Birch, D. E., Raymond, J. and Bloch, W. : Nucleic Acids Res., 20(7), 1717-1723(1992)

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